「愛に見返りを求めてはいけない」の記事を書いていて、
「木を植えた男」という、素晴らしい絵本のことを思い出しました。
絵本といっても、子供向けというより、大人が読んで感動するタイプの本で、
この絵本は、アニメにもなっていて、DVDでも販売されています。
荒れた大地に、一人黙々と、木を植え続ける男の話。
様々な困難が訪れますが、それでもあきらめることなく、木を植え続けていきます。
やがて、荒野は、緑が育ち、水にあふれ、たくさんの人々が暮らすことのできる、
豊穣の地となったのです。
小さな木の苗木を、植えてゆく行為は、単純なものかもしれません。
しかし、苗木が成長するまで、いくつもの困難が訪れます。
それにも負けず、苗木を植え続けていくという単純な作業を
一人でもくもくと続けてゆく男の姿に、
いくつもの学びを発見するのです。
今の私には、
「誰の目に触れることもなく、誰からも称賛されることもない。
しかし、未来にたくさんの人々の笑顔と幸福が生まれることを祈って、
単純でも、困難がおとずれても、
自分にできることを、毎日毎日繰り返してゆく」
そんな木を植えた男の、静かな姿に感動を見るのです。
そして、木を植えた男のこの姿は、
よく周りを観察すれば、そこここに溢れていると感じました。
たとえば、私を何年も大事に育ててくれた両親の愛情と苦労。
日々、生きることができるのは、沢山の人々の影の支えがあるからだし、
お天道様が毎日規則正しく運行し、雨という恵をいただき、
たくさんの自然に支えられているお陰でもあります。
私ひとりが生きてゆくのに、
無償で愛を与えてくれている人々や自然の存在がある。
それを考える時に、
木を植えた男のように、
見返りを求めない無償の愛を与えてゆくことは、
誰かを生かすことにつながってゆくんだ、
人間には、こんなに尊い行為を成すだけの美しい心があるんだ。
現代社会にあふれる、悪いニュースばかり見ていると、
この世に光はないように思うこともあるけれど、
決してそうではないんだ。
今も、どこかで、あなたのために、誰かが愛を与えている。
大自然もその大きなサイクルによって、
人間が生きてゆけるだけの無償の愛を与えてくれている。
そうやって、世界は成り立っている。
三度のご飯を食べる時の「いただきます」。
誰かに親切にしてもらったら、「ありがとう」。
毎日の生活の中に溶け込んでいて忘れがちな大切なことに気がついたら、
どんなに小さくても、この世界を、誰かを、生かす存在になりたいと、
そう深く感じたのでした。
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